被災3県の沿岸小中 ハザードマップの浸水予想区域「説明できるほど理解」3割にとどまる

 河北新報社は日本学校保健学会会員の学校防災研究メンバーと共同で、岩手、宮城、福島3県沿岸の小中学校と、南海トラフ巨大地震が懸念される東南海地域7県沿岸の小学校を対象に防災アンケートを実施した。東北では津波ハザードマップの浸水予想区域の決め方について、「説明できる程度に分かる」と答えた学校は31.1%にとどまり、東日本大震災から7年がたつ今も災害リスクへの「理解度」が高まっていない現状が明らかになった。(大川小事故取材班)

 学校防災を巡っては、児童・教職員計84人が犠牲となった石巻市大川小津波訴訟の控訴審で事前の備えが焦点となった。4月26日の仙台高裁判決は、教員が地域特性に合わせ、独自にハザードマップを検証する必要性を指摘した。
 ハザードマップの理解度は「何となく分かる」50.8%、「よく分かっていない」17.4%。ハザードマップの受け止めについては「浸水域内のため対策を立てている」37.1%、「域外だが対策は立てている」50.8%の一方、「域外だから安心」が8.3%あった。大川小を含めて浸水予想区域外の学校が数多く被災したが、いまだに1割近い学校がハザードマップを「安心材料」と捉えている実態が浮き彫りになった。
 学校の防災マニュアル(危機管理マニュアル)は、91.7%が津波への対応を規定。うち45.5%が震災後に定めた。一方、浸水域かどうか「分からない」が7.6%あり、各校のリスクの認識に課題を残した。
 児童の津波避難場所は、51.4%が「保護者・地域住民とも共有」と回答したが、避難場所の情報共有の範囲が教職員にとどまる学校も23.4%あった。
 職員会議で児童生徒の保護者への「引き渡し」を検討したことがある学校のうち、98.9%は保護者とも情報を共有。内容は「津波注意報・警報の発令中は引き渡さない」が66.3%に上った。引き渡し後の児童生徒が被災したケースが相次いだことを教訓に、ルール化したことが分かる。
 一方、大川小のような管理職不在時の災害について、対応を話し合ったことがあるのは59.8%だった。
 81.1%の学校が、地域住民の避難場所に指定されている。そのうち避難住民への対応を「話し合ったことがない」は32.7%。具体的な住民対応を問うと、「児童を優先し住民対応は地域や行政などに任せる」35.5%、「教職員が対応」35.5%、「状況に応じて臨機応変に」21.5%と分かれた。
 教職員の津波への意識については、13.6%が「教員間に意識の格差」または「低下」を感じていた。
 震災の経験を教訓にしているかの問いには「大いに」78.0%、「多少」12.9%と9割の学校が教訓を生かしていると回答。「あまり状況をよく知らない」も8.3%あった。
 調査は東北3県沿岸の小中学校(移転・統合先含む)198校と、東南海7県沿岸の小学校487校が対象。3月に調査票を郵送し、東北132校(66.7%)、東南海269校(55.2%)から回答があった。


2018年05月29日火曜日


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