<安住の灯>原子力災害 深い爪痕 大熊ようやく一部解除

 東京電力福島第1原発事故による避難指示に伴い、福島県ではいまだに4万人以上が県内外で避難生活を強いられている。事故から8年が過ぎ、避難指示区域の解除は進んでいるが、思うように住民の帰還にはつながっていない。研究者は避難者に対する生活再建策の不備や、東電からの賠償格差がもたらす弱者へのしわ寄せといった問題点を指摘する。(「震災と住まい」取材班)

◎原発事故に伴う避難指示区域などの状況

 原発事故に伴う避難指示区域などの見直し状況は地図の通り。全町避難する福島県大熊町は4月に大川原、中屋敷両地区の避難指示が解除される予定。町は大川原に整備する役場新庁舎の開庁式を14日に行う。
 県によると、9市町村に及んだ旧避難指示区域で、今年1月末か2月1日時点の住民登録者数は計4万7680人。うち居住者数は23.0%の計1万986人にとどまる。
 2017年3月末に避難指示が解除され、対象区域の住民登録が1万4587人で最も多い浪江町は6.1%(居住者数は896人)。同時期の富岡町も9294人に対し、9.3%(864人)と低迷する。
 全町避難が続く双葉町は20年春までに北東部の避難指示解除準備区域と、JR双葉駅周辺で避難指示解除を目指す。帰還困難区域に整備する特定復興再生拠点区域全域は、22年春までの解除を目標にしている。
 伊沢史朗町長は町議会3月定例会の答弁で、放射線量の低減状況などを確認する専門家による検証委員会を4月に設置し、秋までに最終報告を取りまとめてもらう方針を明らかにした。

<避難指示の経過>
2011年
  3月11日
   午後7時 3分 福島第1原発に原子力緊急事態宣言
   午後8時50分 県、福島第1半径2キロ圏内に避難指示
   午後9時23分 国、半径3キロ圏内に避難指示、半径10キロ圏内に屋内退避指示
  3月12日
   午前5時44分 半径10キロ圏内に避難指示
   午後6時25分 半径20キロ圏内に避難指示
  3月15日
   午後11時   半径20~30キロ圏内に屋内退避指示
  4月22日    警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域を設定
  9月30日    緊急時避難準備区域の解除
 12年
  4月 1日    帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域を設定
 13年
  8月 8日    川俣町山木屋地区が避難指示解除準備区域となる
 14年
  4月 1日    田村市都路地区の避難指示解除準備区域を解除(1)
  10月1日    川内村の避難指示解除準備区域を解除、居住制限区域を避難指示解除準備区域に再編(2)
 15年
  9月 5日    楢葉町の避難指示解除準備区域を解除(3)
 16年
  6月12日    葛尾村の居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除(4)
  6月14日    川内村に残っていた避難指示解除準備区域を解除
  7月12日    南相馬市の居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除(5)
 17年
  3月31日    川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村の居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除(6)
  4月 1日    富岡町の居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除(7)
 19年
  4月       大熊町、居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除へ(8)


2019年03月26日火曜日

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